読書メーターまとめ(2018年8月)
8月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1051
ナイス数:9
海軍こぼれ話 (光文社文庫)の感想
1990年刊行(親本は1985年刊)。『山本五十六』、『軍艦長門の生涯』を著した著者の海軍よもやま話。海軍を持ち上げるでも卑下するのでもなく、褒めるところは褒め、ダメなところは批判するバランス感覚が良かったです。ただ一番面白いというか苦笑してしまったのは「補給がうまくいってない事を歌うと、なぜ日本人の士気は昂揚するのか」という外国人のツッコミだったり。
読了日:08月29日 著者:阿川 弘之
林芙美子随筆集 (岩波文庫)の感想
面白かった。実際は違うのかもしれませんが、林芙美子という人は理念や思想よりも実際の生活が先に来る人だったのではないかと思えてきます。
読了日:08月24日 著者:林 芙美子
海軍随筆 (中公文庫)の感想
著者の『海軍』を読んでいないので、この小説はこのような取材から生まれたのかというような感はないのですが、兵学校の描写を読んでいると、兵学校から今の学校への道はつながっているんじゃないかと思えてきました。「いわれたことを、必ずやるーこれは軍人にとって、非常に大切なことなんです」(P.26)なんて言葉は特にそう思わせるものがあります。こういう読みが良い読みなのかは分かりませんが。
読了日:08月21日 著者:獅子 文六
オフサイドはなぜ反則か (平凡社ライブラリー)の感想
2001年刊行(親本は1985年刊行)。点を取らないといけないフットボールでなぜオフサイドというルールが生まれたのかを、社会構造や社会構造、それに伴うフットボール自体の変化から描いていく。読んでいるとフットボールというのは文化であり、文化史というのは自分たちが自明と思っているものがいつからそうなったのかを明らかにすることで、物事を客観視させるものなのだと思わせてくれる。文章はやや読みづらく感じました。
読了日:08月06日 著者:中村 敏雄
読書メーター
読書メーターまとめ(2018年7月)
7月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:812
ナイス数:7
ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書)の感想
2006年刊行。社会科学における「ダメな議論」を様々なチェックポイントを使って見抜く方法を書いている。個人的には「自然」とか「等身大」といったなんとなくプラスっぽい言葉に惹かれたり、定義付けがキチンとされているかを考えないところがあるので気を付けようと思った。しかしP.186、P.192の著者が書いたバブル批判、成長批判の言説は今でも人文系が好みそうな言説だなぁ、と苦笑してしましました。
読了日:07月25日 著者:飯田 泰之
アナーキズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)の感想
2004年刊。著者の『ナショナリズム』と同じく10のテキストから日本のアナーキズムの歴史を書いている。第3章、第4章を読んで内田樹とその周辺が言っている「小商い」とか「ローカリズム」って農本アナーキズムとほぼ同じじゃないかと思いました。で、それは「個人の抑圧」や「共同体主義」しかもたらさないだろうなという自分の考えも強くなりましたが(だって提唱してる人たちって小集団の親玉ですがな)。ただ終章を読むと、14年前だから仕方ないのかもしれないが、経済に対する認識が不勉強に過ぎる気もします。
読了日:07月11日 著者:浅羽 通明
ナショナリズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)の感想
2004年刊。ナショナリズムを称賛するでも批判するでもなく、それが日本でどのように生まれ展開したかを10のテキストを通して辿っていく。個人的にはナショナリズムが発生した明治期のテキスト(『日本風景論』、三宅雪嶺・芳賀矢一『日本人論』)を解説した第4章、第5章が面白かった。
読了日:07月07日 著者:浅羽 通明
読書メーター
読書メーターまとめ(2018年6月)
6月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:813
ナイス数:10
バンドやめようぜ! ──あるイギリス人のディープな現代日本ポップ・ロック界探検記 (ele-king books)の感想
2017年刊行。帯に「日本では否定的なレビューがタブーとなっているのはなぜか」とあるが、内容は日本の音楽を巡る環境が中心でタブーに切り込むという感じではありませんでした。様々なインディ、オルタナバンドの名前が挙がりますが、ほとんど分からない上に興味も湧かないというありさまで、内容云々というより、著者が好意的に扱っているバンドやシーンに対する関心がないことを実感させられた。
読了日:06月22日 著者:イアン・F・マーティン
アベノミクスが変えた日本経済 (ちくま新書)の感想
2018年刊行。正直なところ経済学の知識がある程度ないとサッパリ分からないところがあった。分かったのは「インフレ目標を達成することで、雇用状況が改善されているかをみるのが大事」ということと「経済が完全に成長軌道に乗るまでは消費増税のような緊縮策は取るべきではない」ということくらい。あとマクロ経済は国民生活に影響を及ぼすということも改めて感じた。
読了日:06月18日 著者:野口 旭
ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」への感想
2013年刊行。5年前の本なので今取り上げるとしたらiTunesStoreじゃなくてSpotifyだよなぁ、と思ったりもしますが、書かれている状況は古びていないように思えました。作品を鑑賞したり作品を通して作者の思想を理解することよりも、作品を通じてつながったり作品で遊んだりという事の方が優位に立っているという状況。ただ今の状況は急に出てきたのではなく、昔からそういうことは起きていたというのも興味深かった。あと個人的にはアイドルやアニソンにも触れているのがよかった。
読了日:06月10日 著者:円堂都司昭
読書メーター
6/17みちくさ市出店報告
6/17のみちくさ市に出店しました。わめぞの皆様、大家さん、来てくださったお客様、ありがとうございました。
みちくさ市、始まりました。 pic.twitter.com/uZuNWSSbxN
— 書肆ヘルニア@ミリオン5th円盤待ち (@unterwelt) 2018年6月17日
天気が心配でしたが何とかなりました。
今回お買い上げいただいた本は以下の通りです。
計8冊、2000円の売上でした。たぶん今までで一番よくなかったです。この前の川口ブックマーケットは良かったので、客層の問題なのかなぁと思う次第。小説や生活の本、絵本といった書籍は自分が読んでないもしくは買ってないから扱ってないため、いきおい人文書や社会科学系の本がメインになってしまうのですが、それがみちくさ市に来て下さるお客さんと合っていないのかしらん。
まぁ出し続けることでひょっこりと売れることもありますから、粘り強くやっていくしかないんだろうなぁと思います。こんな悠長なことが言えるのも片手間の古本屋だからで、専業の人はそうも言ってられないのでしょうけど。
そういえば前回の川口に出た時はドジブックスさん主催の「ひとつき十冊」のネームプレートに反応してくださる店主の方が2~3名いらっしゃったのですが、みちくさ市ではドーナッツブックスさん以外反応してくれませんでした。
今年の夏か秋に引っ越しをする予定なので、次回の出店は未定です。
6/17みちくさ市に出店します
読書メーターまとめ(2018年5月)
5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1697
ナイス数:18
声優 声の職人 (岩波新書)の感想
2018年刊。『アイズワイドシャット』のオーディションの話が興味深かった。あと「声優は日本語の文章と向き合う仕事だから、日本語力を身に付けないといけない」という考えは、実際に演技をしている人の意見だなぁと思いました。
読了日:05月30日 著者:森川 智之
文学と私・戦後と私 (新潮文庫)の感想
1974年刊行。海外のことをつづった第1部と自身について書いた第4部が良かった。特に「戦後と私」というエッセーの「しかしいったいこの世の中に私情以上に強烈な感情はあるか」という一文は印象に残った。ただ同じ文章を小林秀雄が書くと啖呵になるけど、江藤淳のそれは哀しさというか悲痛な叫びみたいに思えてきてしまう。これは著者の最期を知っているからかもしれないけど。ところで「『ヒッチコック・マガジン』の中原、大坪両氏が訪ねられ」とあったけど、小林信彦と江藤淳の接点って山川方夫なんだろうか。
読了日:05月24日 著者:江藤 淳
進歩: 人類の未来が明るい10の理由の感想
2018年刊行。悪いニュースが飛び交い人類の未来は暗いように思えるが、実は今の時代は貧困、環境、衛生が昔に比べて格段に改善している。それは経済成長や技術革新、啓蒙思想や未来への投資によってであり、我々はそれを取也してはいけないし、「昔は良かった」といった言説に飛びついてはいけないという内容。どうにも新技術が出てくると危険性を強く感じてしまうが、そのメリットもキチンと見ないといけないのだと思わされた。
読了日:05月20日 著者:ヨハン ノルベリ
そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学の感想
2018年刊行。著者の本を何冊か読んでいるので、左派こそ経済政策を重視し、みんなが経済的に豊かになるような政策を打ち出すべきだという主張に目新しさはない。個人的にはブレイディみかこの「これから上るべき坂を目の前にしている若い人たちに対して、すでに坂の上のほうにいる人たちが、縮めとか、降りろとかいうのはとても残酷だと思います」(P.29)という言葉にとても共感する。
読了日:05月16日 著者:ブレイディ みかこ,松尾 匡,北田 暁大
反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったかの感想
2014年刊行。社会を改善するにはシステムを変えるといったことではなく、ルールを定めたり(そのためにはデモよりも議員への陳情の方が有効でしょう)、具体的な案を出していくといった地味な活動を通して行うべきものかと思いました。そうすると社会の変革を志望し、規制やルールを否定するカウンターカルチャーは問題を悪化させこそすれ解決には向かわせないと。しかしこういう本は文化人とかが読むべきなんだろうけど、読まないんだろうなぁ。
読了日:05月08日 著者:ジョセフ・ヒース,アンドルー・ポター
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5/19川口ブックマーケット出店報告
5/19の川口ブックマーケットに出店しました。主催者の皆様、来てくださったお客様、ありがとうございました。
川口ブックマーケット、始まりました。いちばん端にいます。 pic.twitter.com/cPbgZvNjl6
— 書肆ヘルニア@5/19川口ブックマーケット、6/2,3ミリオン5thライブ両日現地 (@unterwelt) 2018年5月19日
当日は雨という予報もあり、雨だったらお客さんも来ないだろうなぁと思っていたのですが、朝に小雨があったにもかかわらず、会場の川口神社の地面は乾いていたので無事に開催しました。主催者の方か、出店者の方に晴れ男もしくは晴れ女がいたのではないかと思います。途中パラっと雨が来ましたが、大雨にならなかったのが幸いでした。
今回お買い上げいただいた本は以下の通りです。
- 夜想bis+
- TYPE-MOONの軌跡
- セゾン文化は何を夢みた
- 「おたく」の精神史
- 表現の風景
- 自己内対話
- 誰がこれからのアニメをつくるのか?
- 奇妙な本棚
- ホフマン短篇集
- ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム
- 映画字幕五十年
- 軍艦総長・平賀譲
- 紙の動物園
- もののあはれ
- 自転車生活でいこう!
- 思想家の自伝を読む
- アニメを仕事に!
17冊5450円の売上でした。自分でも驚くくらい本が出ていきました。 川口はみちくさ市と違ってアニメ系の本が出ていくと思っていたのでそういう意味では違和感はないのですが、単行本が予想以上に売れたのが自分でもよく分かりません。もしかすると川口の書店にそういう本の扱いが少ないからかもなぁ。個人的には中学生くらいの男の子が『軍艦総長・平賀譲』をお買い上げしたのが印象的でした。『艦これ』か『アズールレーン』の影響かしらんと思ってしまうのはオタクの悪い癖。
今回が3回目の出店だったのですが、なんというか川口ブックマーケットが一番肌に合う気がしました。なかなか大変な感じですが、来年も開催してほしいなぁと思います。