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ソーントン・ワイルダー『わが町』(新国立劇場)

演劇

 昨日千秋楽を迎えた『わが町』(新国立劇場)の感想。それにしても当日券は1500円で買えるので映画より安い。

 あらすじは以下の通り(新国立劇場のサイトから引用)

 アメリカ合衆国ニューハンプシャー州ローヴァーズ・コーナーズ。
この町の医者であるドクター・ギブズの家にも、また隣家の住人、町の新聞の発行人・ウェッブ氏の家にも、いつもと変わらない平和な一日が訪れている。ギブズの息子・ジョージとウェッブの娘・エミリーは、ともに 16歳で幼なじみ。二人の頭にあるのは今日の宿題のこと、将来の夢のこと、そして、ほんの少しだけ気になっている隣の家の幼なじみのこと。いつもの朝、いつもの一日。
それから3年。高校の卒業式の直後。幼なじみのエミリーとジョージは結婚の日を迎える。ジョージは嬉しさのあまり、朝から落ち着かない。新たな家族を迎える 2組の両親の、「結婚」に対する思い、新たな家族となる若い二人への願いが語られる。お互いの愛を再認識した二人は、町の多くの人々の祝福を存分に受けながら、幸せな結婚式を終える。永遠に続くと思われた幸せに満ちた夫婦生活が9年を数えた頃、思いもかけない出来事がエミリーの身に起きて…。

 第1幕が16歳のときの話で、第2幕がその3年後になるのですが、正直言って第1幕と第2幕はきつかったです。寝るんじゃないかと思った。きつかったのは舞台がアメリカなので馴染みがないことや、劇団☆新感線NODA・MAPの演劇ほど登場人物のキャラが立っておらず、そういう芝居に慣れてないからだと思います。第2幕のエミリーの母親の台詞や結婚式直前のジョージの台詞は印象深かったのですが(周りに結婚を控えている人が多いからかもしれない)。

 だが第3幕がすごかった。第3幕はエミリーがお産で死んでしまい、彼女の葬式から始まります。彼女と墓地で眠っている街の人の眼からグローヴァーズ・コーナーズの生活が語られます。

 エミリーはもう1度生きてる世界に戻ります。そこでエミリーが眼にするのはせわしなく生きる人々であり、過ぎ去っていく一瞬一瞬が素晴らしいということに気づいていない人たちでした。そして彼女は生きてる世界に戻ることを諦めます。

 そのあと星と地球の話が出てきます。星には生物がいない、生物がいるのはこの星なんですね。という話。そして舞台監督(という役なのだ)が「夜11時です。おやすみなさい」という台詞で芝居は終わります。

 この第3幕で感動してしまいました。ただなんで感動してるのかを言おうとするとすごく難しいのです。物語の筋で泣かせるというものではないので、実際、私の右隣の人は鼻をすすっているのに、左隣の人はなんだか退屈そうにしていましたから。私も泣いてはいませんが、まぁ、泣くのと感動するはイコールではないと思うのです。おそらく生活するということそれ自体が素晴らしいものであるという、自分が普段気づいていない、でも大切なことを見せられたからではないかと思うのです。

 ところで、これって「1日1日を大切にしましょう」というお説教になりかねない話だと思うのです。でも、それに説得力を持たせるというのはすごいことだと思います。大事なのはテーマではなく、テーマをどのように書くかということなんだと思いました。でもパンフレットを読むとこの物語理解はかなり浅い気もします。

 また観たい、と思ってもいかんせん千秋楽なんでどうにもならない。DVDとか出ると嬉しいのですが……。