『エヴァ』というより一部のエヴァファンが分からない

 以前こんな事をつぶやいたのはこれの3/7にある『まどか』評を見たからでした。
http://www.f7.dion.ne.jp/~moorend/zatuji1103a.html

● いわゆる「鬱アニメ」なんだけど、見てみた感想としては「まあ確かに酷い話だけど・・・」という感じ。同様の「鬱アニメ」として、少年期の僕の人生観に影響を及ぼした旧「エヴァ」と比べると、確かに酷い話ではあるけど、そこまで響いてくるものではないです。

● 多分鬱は鬱でも、エヴァの鬱が哲学的な問いを含んでいたのに比べて、まどかの鬱はもっと単純に酷い展開にしただけのような気がします。だから「まどか」は見ている最中はどんよりした気分になるけど、見終わったらそのまま頭から抜けていくような、そんな感じ。

● あとは人生経験の差でしょうね。「まどか」を見てそうな20歳前後の若者にとっては、「あずまんが」以来長らく続く日常系アニメが標準だったから、こういう表現は衝撃的なのでしょう。でも僕の少年期って「エヴァ」だけでなく、ちょうどテレビドラマも鬱展開が主流だった時期で、佐野史郎熱演の「ずっとあなたが好きだった」とか、「悪魔のKISS」とか、「沙粧妙子」とか、えげつない展開が多かったのですよ(ちなみに「沙粧妙子」は今でも通用するレベルのすばらしいドラマでした。いろいろやりすぎたせいで再放送できないみたいだけど)。

● 以上ここまでジジイの思い出話でしたが、何というか、人生のしかるべき時期にはこういう「鬱展開」を経験しておいたほうがいいですよ。別に「アニメなぞではなく、漱石大先生の『こころ』でも読んで鬱展開に慣れろ」とかいうつもりは全くありません。アニメでも何でもいいんです。鬱作品のいいところは、「いい人が幸せになれるわけではない」という人生の不条理を教えてくれるところ。勧善懲悪な作品なんてジジババになってから水戸黄門でも見とけばいいのだから、若いうちは不条理作品をどんどん経験してください。

 面白いと言わないやつはおかしいとは思わない。ただ私より上の世代でも嵌っている人はいると思うのだが、なんで「見てそうなのは20歳前後」って言ってしまうのか分からない。というか、人生経験の差って……。私は来年で30だが、この年齢になったからキャラの心情が分かると思ってる。たぶん20歳のときだったら、「こいつらバカだろ」と思ってさやかと杏子の心情は理解できなかったんじゃないか、と思う。

 さらに4/12の『まどか』評を読んでなんだかなぁ、と思ってしまった。

でもこの作品の盛り上がり方はどうもゲリラ的と言うか、「既成の魔女っ子アニメと見せかけておいて、それを裏切った」という方法論がネットを介して受けたのであって、作品の内容そのものが受けたのかどうかは留保したいところ。作り方が「やったもの勝ち」的なのですよ。

 見事な社会分析ですね! でも、それを言ったら『エヴァンゲリオン』だって「既成のロボットアニメと見せかけておいて、それを裏切った」から話題になった部分はあるんじゃないのかと思ってしまう。


 これを読んで思ったのが「俺が『エヴァ』を嫌いな理由って作品自体よりも、作品のファンが嫌いだからじゃねえの」という事でした。一部のファンの「『エヴァ』は素晴らしい。それ以降のアニメはダメだ」という意見を目にするうちに、だんだん嫌いになっていたんじゃなかろうか。だって作品の評価は嫌いではなく「興味がない」だからなぁ。アニメは見たけど、劇場版は観てないし、内容はほとんど忘れてます。

 もっとも学生時代に影響を受けた作品は最高で、それ以降の作品は評価しないというのは分からなくもないのです。自分だって「俺が大学時代の邦楽はよかった。くるりスーパーカーナンバーガールがあって、みんな実験的なこともしつつポップでセールスも良かった。それに比べて今の邦楽は何?」と思っていた時期がありましたが、くるり以降の邦楽をまともに聴いていないで言ってたので、今思うと恥ずかしいたらありゃしない。

 話を戻すと中学時代に見ていたにもかかわらずまったく印象に残ってない私としては、なんで一部の人が『エヴァ』に未だに拘り、『エヴァ』以降を評価しないのか分からないのです。時が経てばもう少し柔軟性が出てくると思うのですが、なんでこんなに頑固なんだ。なんだか劇場版エヴァ以降時が止まっている気がしてならないのです。

 しかし今でも「エヴァ最高」でいる理由を本気で説明してほしいんだが……。