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「魔法少女は現代思想の夢を見るか?」に行ってきた

アニメ

 12日に三省堂書店本店で行われた「魔法少女現代思想の夢を見るか?」というトークイベントに行ってきました。

 http://www.books-sanseido.co.jp/blog/jinbocho/m/post-475.html

 会場はほぼ満席で男性がほとんど、あと年齢層は高めで60過ぎてるんじゃないかという人までいました。見た感じ40代くらいの人が多かったです。若い人はほとんど見かけなかったのですが、これはこういうイベントに興味がないのか、平日だから行けなかったのか、どっちなんだろ。あとマスコミ関係者用の席もありました。

 で、18時30分スタート。司会は『成熟という檻』を編集した岸川真氏、それから『成熟という檻』著者の山川賢一氏、大森望氏、森川嘉一郎氏が登壇。まずは著者の山川氏が話し出したのですが、立ち上がってホワイトボードを使って『まどか☆マギカ』の物語構造の説明をし始めました。大森氏が「こういう時って本を書いたいきさつとか喋るんじゃないの?」と突っ込んでましたが流してました。

 まず『まどか』は『ガンダム』や『エヴァ』みたいに新しい要素があるわけではないので、その魅力がきちんと語られていないのでは、と話してから『まどか』の物語構造が通常のエンタメと違って、いいことをした方が負ける構造になると分析。これは本にも書かれていることでしたが、書いてから考えたこととして「魔法少女」の世界には信念がぶつかり合う対立の世界しかない。それに対して「まどか母」の世界には会社内で対立する世界もあるが家族という親密な世界もあり、後者のような成熟ならいいが、前者のようなのでは厳しいのではないか。ちなみに魔法少女になる前のまどかたちの世界も親密な世界としています。また「まどか母」は「夢と生き方では後者を取ったが、前者を取ると魔法少女になる」などの話を30分くらいしてました。*1

 山川氏がアニメを見たのは『無限のリヴァイアス』以来だということでしたので、大森氏が「だからアニメの話が少ないのか」と言ってました。山川氏はJホラーが好きみたいです。あとタイムループもので他に何があるか、知り合いのオタクに聞いたら『シムーン』を薦められた。面白かったけど、タイムループものじゃないだろと愚痴ってました。

 次に大森氏は本について突っ込めばいいのかと思って来たら『まどか』について15分くらい喋ってくれと言われた、と言ってましたが、そのせいか話がいちばん追いにくかったです……。すみません。「人類家畜化」というネタはSFではポピュラーだが、それを正面からやるのが驚きだったとか、SFとファンタジーが奇妙に重なり合っているとかそんな話をしていた、と思います。あと『成熟という檻』はタイムループをモラトリアムの象徴として(つまりそこから抜け出すことで成長、成熟できる)書いているのですが、最近のタイムループの使われ方はモラトリアムとは関係ないのでは、と『シュタインズ・ゲート』を出して疑問を呈していたのが印象に残っています。あとタイムループという設定が広く使われている例として『ゴッドタン』の同窓会コントを挙げてました。

 最後に森川氏が発言。「大森氏が必死にSF側に寄せようとしているので、オタク側に戻すのが私の役割かな」と言ってパソコンを使って魔法少女アニメの歴史を説明。「時間をさかのぼりますか」とほむらの砂時計ギミックの映像を流したので場内から笑いが。『奥さまは魔女』→『魔法使いサリー』→『ひみつのアッコちゃん』→変身アイテムのグッズが成功→魔法少女アニメにつながるという流れ。その流れの中で『魔法のプリンセス ミンキーモモ』が出てきて、それが男性の間でヒットするが、そのヒットの原因にロリコンブームがあり、それをさかのぼると吾妻ひでおが出てくる。で、吾妻ひでおは美少女を不条理な目に合わせていた作家であり、『まどか』にもそういう「女の子がひどい目に合うのを見たい」という欲望があるのではないかという話でした。

 そこから「じゃあ登場人物が男だったらこんなにヒットしたのか」という話になり、山川氏は「自分は『はみだしっ子』に重ね合わせて見たので、登場人物が男女かどうかというのは関係ないと思う」と発言。その後で「自分はJホラーが好きで、黒澤清監督作品が好きなんですけど、あの人はおじさんをいじめるのが好きみたいだから」と発言したところ「じゃあ、全員おじさんならいいのか」と悪ノリする大森氏。それを受けて「でも回想が下手だから10話ができない」と山川氏が返したところで、時間が来てしまい最後に山川氏から一言。「最近のアニメ評論は社会批評と結びつけるものが多く、そういうのも面白いとは思うけど自分はやりたくなかった。優れた作品なら社会と結び付けなくても作品の魅力を書くことはできるのではないか、と思って書いた」との事でした。

 現代思想の話はしていない気がしますが、面白かったです。なお、これは私がメモを取らずに聞いた話を、自分の記憶を頼りに書いているので間違っている部分や勘違いしている部分もありますので、そこは割り引いて読んでください。きちんとしたのがどこかで発表されると思います。媒体は知りませんが。

*1:もっともまどか母は「生き方を夢にした」と言われているのだから、「夢と生き方」を対立させるのは違うのではないかという気もするが、質問してない