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『ムサシ』感想

演劇

もう東京での公演は終わってますが、先日シアターコクーンで『ムサシ』を観劇しました。井上ひさし作・蜷川幸雄演出ということで期待していたのですが、正直なところイマイチでした。

あらすじは→http://hpot.jp/stage/musashi

で、何がダメだったのかを考えた結果、作者のメッセージが直接的に出すぎているからだという結論に達しました。


宮本武蔵佐々木小次郎の決闘を止めさせるために死者が一芝居打つというのがクライマックスにあるのですが、そこで死者たちが「殺すなあ」「殺されるなあ」と言うわけです。その「報復は報復を生むだけだ」という作者のメッセージは分かりますが、これはあまりにも直接言い過ぎではと疑問に思いました。伝えたいことだけが前面に出ていて、余韻もへったくれもない気が。

さらに死者たちが去ったあと、武蔵と小次郎はアッサリと決闘を止めるんですね。いや、何年も追い続けた相手が目の前にいるのに、赤の他人の説得でそんな簡単に止められるものなのと思うんですが。というか、そこからの葛藤こそが本筋ではないの? 私の好みの問題かもしれませんが、ちょっと脚本に問題があるのでは。同じようなテーマだったら野田秀樹の『THE BEE』の方が遥かに優れていたように感じました。

ちなみに数年前に観た父も同じところをダメ出ししていて、曰く「脚本が練られてない」。

役者ですが白石加代子が印象に残りました。正確には彼女が主演2人を食いすぎてて、主演の印象があまり残ってない……。

もちろん脚本だけが芝居の良し悪しを決めるものではないというのは分かりますが、過去の作品を観たことがあるからか「『薮原検校』のときはこんなんじゃなかったのに」と思ってしまうのもまた事実であって、もやもやしてしまうのでした。「メッセージがあればいい作品、ではない」ということを思った今年最初の観劇でした。