読書メーターまとめ(2017年3月)

3月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2281
ナイス数:11

フォーカスな人たち (新潮文庫)フォーカスな人たち (新潮文庫)感想
黒木香村西とおる太地喜和子尾上縫細川護熙を取り上げたルポですが、著者は人物というよりも人物を通して時代を書きたかったのだろうなぁと思いました。黒木香村西とおるのところはイマイチ面白くなかったのですが(これは自分が彼らのやったことに興味がないからかもしれません)、太地喜和子以降は面白かったです。文庫版エピローグの「バブルが非日常的なことがらが日常的になりかわってしまう事態なのだとすれば、ひとつのバブルのあとに、またひとつのバブルが続くことは考えられる」という文章が印象的。 
読了日:03月29日 著者:井田 真木子
人物ノンフィクション 私だけの勲章 (同時代ライブラリー (255))人物ノンフィクション 私だけの勲章 (同時代ライブラリー (255))感想
5つのノンフィクション短編集で、どの短編も華やかな表舞台に出てこない人たちである。どれも好みだったのですが、個人的には流しの歌手を取り上げた「演歌」、フジテレビの技術クルーを扱った「御巣鷹山」、阪神川藤幸三を取り上げた「最後のひと振り」が良かったです。
読了日:03月24日 著者:後藤 正治
櫻画報大全櫻画報大全感想
1970~72年くらいの空気が分かってないとパロディの元ネタや時事ネタが分からないのですが、絵の密度に魅せられて読んでしまいました。新解さんとか老人力のイメージが強かった自分には、毒、皮肉、揶揄がある主筆デスク日記が新鮮で面白かったです。そういえば前衛芸術家だったんだよなと思いました。
読了日:03月19日 著者:赤瀬川 原平
新版 アニメーション学入門 (平凡社新書)新版 アニメーション学入門 (平凡社新書)感想
2005年に出版された本の改訂版。2016年に公開された『君の名は。』、『映画聲の形』、『この世界の片隅に』も取り上げられています。制作会社ではシャフト、京都アニメーションなどが追加されていました。今の日本のアニメ状況を知るのにうってつけの書籍ですが、世界には多種多様なアニメーションがあることに驚かされる1冊でもありました。
読了日:03月15日 著者:津堅 信之
ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)感想
ものすごく面白かったが、気が滅入ってくる1冊でもありました。ここに出てくる人たちは極端な人種差別者ではなく、未来への不安とエスタブリッシュメントに対する不満からトランプを支持していること、そして対岸の火事ではないだろうことが気が滅入る原因。「学校を卒業すれば働けて、家族を養って休みも取れたのに」という郷愁と不満にどのように対応するか、を真面目に考えないと第2、第3のトランプがあちこちで出てくるのだろうなぁ。
読了日:03月12日 著者:金成 隆一
それでもドキュメンタリーは嘘をつく (角川文庫)それでもドキュメンタリーは嘘をつく (角川文庫)感想
『A』『A2』『FAKE』を作った森達也によるドキュメンタリーを巡るエッセイ。「映像は主義や主張よりも、生理を伝えることに適性がある媒体」という言葉や、ドキュメンタリーと報道の違い、事件に対して第三者であることなど、いろいろと刺激的だった。そしてこの本を読んで、『FAKE』のラストがなぜあのようになったのかが分かったように思えました。
読了日:03月05日 著者:森 達也

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