読書メーターまとめ(2017年12月)

12月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2143
ナイス数:15

ユニクロ潜入一年ユニクロ潜入一年感想
2017年刊行。柳井社長の考えにはうなずかされる部分もあるのですが、それを強要するのは駄目だろうし、仕事量と給与が合ってないんだろうなぁと思いました。ただ企業の利益を従業員に還元しなかったり、職場の労務環境が悪かったりというのは多かれ少なかれ色んな企業で起きていると思うので、ユニクロだけを批判するのではなく、この本からどういう社会を目指すべきかを考えるべきなのかもしれません。そしてそれはアルバイトの店員にまで過剰なサービスを求めたり、安さを優先させる自分たちも変わらなければいけない、ということでもあり。
読了日:12月29日 著者:横田 増生
ヒットの崩壊 (講談社現代新書)ヒットの崩壊 (講談社現代新書)感想
2016年刊行。ミュージシャンや音楽番組制作者、チャート会社へのインタビューから音楽業界の変化が分かり面白かった。個人的にはフェスの浸透による大型音楽番組に合わせて通常の音楽番組を作る話が、フェスに合わせてミュージシャンのスケジュールが決まるのと同じように感じられて興味深かった。これからは特定のファン層に絞るか、不特定多数の人にも聞いてもらうか、のどちらを選択するかが大事になってくるのだろうなぁ。
読了日:12月24日 著者:柴 那典
「Jポップ」は死んだ (扶桑社新書)「Jポップ」は死んだ (扶桑社新書)感想
2017年刊行。今の音楽の現場を書いているにしてはあまりにも扱っている対象がニッチすぎるし、マスメディアが流す一方的な情報から個人個人が流すスモールニュースへの変容というのも、10年くらい前のネット感という気がしてしまい、今さらインターネットに浮かれているという印象が強い。ぶっちゃけた話、この方はマイナー好みが強すぎてポピュラー文化の考察に向いてないんじゃないかと。
読了日:12月21日 著者:鳥賀陽 弘道
Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 (岩波新書)Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 (岩波新書)感想
2005年刊行。Jポップという名称の由来やデジタル化による製作技術の変化、マスメディアに乗ることによって起きたプレイヤーの変遷といった話は興味深かったです。ただ著者がエクスキューズすればするほど、著者がJポップを音楽ではなく「商品」としてしか見ていないことが浮き彫りになってしまい、初めて接した邦楽が「Jポップ」だからモヤモヤさせられるのも事実。90年代半ばに中高生だった私はJポップに「日本の音楽が洋楽と肩を並べた」とは思ってなかったのですが(そもそも洋楽聴いてないし)、どこまで的を得ているだろ。
読了日:12月19日 著者:烏賀陽 弘道
夏フェス革命 ー音楽が変わる、社会が変わるー夏フェス革命 ー音楽が変わる、社会が変わるー感想
2017年刊行。夏フェスは2003年のフジロックしか行ったことがなく、ロック・イン・ジャパンには行ったことがなかったので、今のフェスについて知ることができた。チャートが機能しなくなった結果、フェスのステージの大小が人気のバロメーターになっているからこそ、フェスで盛り上がれる曲が多くなってしまう弊害もあるとか。もっともここで書かれている「楽曲や出演者より会場の環境やコミュニケーションが優先される」のはアイドルや声優の現場でも似たようなことは起きているのかな、とも思いました。
読了日:12月15日 著者:レジー
「箱根駅伝」―不可能に挑んだ男たち「箱根駅伝」―不可能に挑んだ男たち感想
2007年刊行。1987年に初めて箱根駅伝を生中継した日本テレビのスタッフの奮闘が書かれています。箱根駅伝というと日本テレビの印象が強いのですが、初めてテレビで放送したのはテレビ東京だったとは驚き。今の放送に問題がないとは言いませんが、ゲストに芸能人を呼ばず選手をメインにし、襷の受け渡しはきちんと映すという方針がぶれていないのは、後に続くスタッフの熱意もあるのかなぁと(視聴率がいいというのもあるのでしょうが)。スタッフの総力を挙げて一つの番組を作るという意味で、箱根駅伝の放送は駅伝に似ている気がします。
読了日:12月13日 著者:原島 由美子
読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)感想
2016年刊行(親本は2008年刊行)。つまるところ「本を読む」にもいろいろあり、実際には何をもって本を読んだとするのかはあいまいであるという考えから、読書を巡る様々な規範から「本を読むという行為」を解放しようとする本に思えました。もっとも考えてみれば同じ本(映画、音楽でもいいのですが)を読んだり聞いてるのに話が合わないなんてことは多々あって、それは多くの人がこの本と同じようなことを無意識でやっているからなんだろうけど、これを言語化するとこうなるのかという感じ。
読了日:12月07日 著者:ピエール バイヤール
僕たちのインターネット史僕たちのインターネット史感想
2017年刊行。1980年代から2010年台までのインターネットを巡る言説史で、ヒッピー思想と結びついていたアメリカのインターネットとそうでない日本との差異、「日本のインターネット観というのは、『等しく貧しい場所としてのインターネット』だったんじゃないでしょうか」(P.115)という指摘は面白かったです。ただ、いかんせん私が「なぜつまらなくなったのか」を考えるくらいなら、そんなつまらない場所なんて捨ててしまえばいいじゃんと思ってしまう人間だから、著者たちの苦悩というか諦念が分からないところもあり。
読了日:12月02日 著者:ばるぼら,さやわか

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