1/22ひとつき十冊に出演しました

1/22に神奈川公会堂・和室で行われたドジブックスさん主催のひとつき十冊というイベントに出演しました。

ゲストの古書現世向井さんの話が面白く、私はほとんど話しませんでした。そんな全員のリストはこちら

以下、私の選んだ10冊とその感想。

1.斎藤美奈子『戦火のレシピ』(2002/岩波アクティブ新書)

この世界の片隅に』関係で読んだ本。戦争中の食生活がどんどん悲惨になっていくので、やっぱり戦争はアカンとなるのでした。「疎開生活で絵の上手な子に甘いものの絵を描いてもらった」というエピソードはすずさんとりんさんのエピソードにもつながるものがあります。

なお岩波アクティブ新書はレーベルごと無くなってしまいましたが、この本は岩波現代文庫で復刊されたので、そちらでもどうぞ。

2.加藤典洋『戦後入門』(2015/ちくま新書)

左派による改憲論。国民による憲法の選び直しによって、憲法を自分たちのものにするという著者の提案には納得するのですが、鳥越俊太郎の応援演説で「国民がふらふらしてるから安倍なんかに2/3の議席を与えちゃうんですよ」と言って、それが聴衆に受けているのでは著者の提案は一顧だにされないんだろうなぁと思うのです。

3.菅野完日本会議の研究』(2016/扶桑社新書)

日本会議寄りの人の発言って「政治家と天皇は頭がカラッポの方がいい」という風にしか思ってなさそうで不快だし、この人たちのどこに天皇に対する敬意があるのかちっとも分からんのです。

4.小林信彦荒木経惟『私説東京繫盛記』

小林信彦荒木経惟とともに東京を歩くのですが、著者の罵倒が面白かったのです。

全共闘以後の、頭がカラッポで、ファッション感覚だけは人なみという<ヤング>にふさわしい、いかにも田舎者が考えそうな垢抜けないコピーとCMが、そうした<錯覚>を作り出したのだが、しかし、実体がゼロでは、<文化戦略>はおぼつかない。

これは西武による渋谷開発を評した文章で、この後も西武劇場をくさし、<文化の香り>をちらつかせていると書くのだからたまらない。

あとは荒木経惟の写真が素晴らしい。1983年の新宿のクラブ「ムーランドール」の看板には研ナオコ天地真理の名前があって、時代を感じさせます。

5.星野源『働く男』(2015/文春文庫)

6.星野源『蘇える変態』(2014/マガジンハウス)

2016年は星野源の年だったと思うので上げました。 

7.伊藤計劃伊藤計劃記録Ⅰ、Ⅱ』(2015/ハヤカワ文庫)

別の本を上げるつもりでしたが、年明けにこんな記事を読んでしまったので。

www.asagei.com

この記事と伊藤計劃になんの関係があるかというと、伊藤計劃が「こちとら自腹や」(だっけ)を批判した文章があったからです。

d.hatena.ne.jp

あと伊藤計劃を誤解していたところがあって、この人は今も生きていればSFを書いて映画秘宝の常連になってるんだろうなぁと思っていたのです。ただ読んでいると映画秘宝の恣意的なボンクラ分類にも批判的だったので、やっぱりイメージで語ってはいけないと思ったのでした。

余談ですが、最近は心が狭いので「この映画は皆殺し案件ですよ」と嬉々として柳下氏にリプライを飛ばす人を見ると「他人に頼らず自分の言葉で語らんかい、死ね、バカ」としかならない。

8.梅崎春生桜島/日の果て/幻化』(1989/講談社文芸文庫)

戦争を描いた小説でありながら、戦争という感じがしないのは戦場の苛烈な描写がないからではと思うのです。個人的には遺作となった「幻化」が素晴らしかったです。現在と回想が入り混じり、オチもなく物語は終わるのですが、久しぶりに小説を読んだという気になりました。

9.中島佑『ODD FUTURE』(週刊モーニング2016年2月4日号収録) 

www.moae.jp

 発表時にネットでも話題になったマンガで、私はあるコマというかせりふがすごい好きで思わず泣いてしまうのですが、それがどこかは書きません。

10.桜野みねねまもって守護月天! 解封の章』(1)(2016/マッグガーデン)

高校時代読んでいたマンガの続編。続編があることすら知りませんでした。作中の時間も3年経っていて翔子がえらくいい女になっていてい驚いたのでした。キリュウと花織は次の単行本で出るんかねぇ。