読書メーターまとめ(2017年1月)

1月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1865
ナイス数:10

文庫解説ワンダーランド (岩波新書)文庫解説ワンダーランド (岩波新書)感想
図書』連載時から楽しんでいたので、書籍化されてうれしい。文庫にある「解説」を「解説」することで文芸批評、社会批評になっている1冊。『雪国』『伊豆の踊子』の解説から日本文学の解説が陥りやすい問題を指摘し、『坊っちゃん』『三四郎』の解説から「群れたがる男」について読み取っていくところが面白かったのですが、一番面白かったのは女性作家による渡辺淳一作品の解説でした。オチに使われている林真理子の文章、絶対に馬鹿にしてるよなぁ。
読了日:01月29日 著者:斎藤 美奈子
システムと儀式 (ちくま文庫)システムと儀式 (ちくま文庫)感想
以前読んだ同著者の『おたくの精神史』は後出しじゃんけんみたいな感じがして好きではないのですが、同時代評であるこの本は面白く読めました。特に「ラフォーレ原宿としてのまんが専門店」と『めぞん一刻』評が面白かったのですが、後者は今読むとカラフルピュアガール更科修一郎の元ネタはこれかぁという感じがしてしまうのでした。更科修一郎の言う「永遠の楽園」というのは「一刻館というのは響子さんという母性原理に支配された母体の様な空間だったように思えてくる」ということなんじゃないかなぁ、と。
読了日:01月26日 著者:大塚 英志
ポッピンQポッピンQ感想
ストーリーは映画と同じだが、各キャラの心情や映画にはないセリフもあり楽しめた。
読了日:01月21日 著者:東堂 いづみ
ポッピンQ~ポッピン・ドロップ~ (小学館ジュニア文庫)ポッピンQ~ポッピン・ドロップ~ (小学館ジュニア文庫)感想
主人公5人のキャラクターが分かる短篇とレミィによる物語の発端が書かれている。あさひ、小夏、沙紀の話が良かったが、小夏のコンクールを巡るトラウマは映画内でちゃんと描くべきだったんじゃないかなぁと読んでいて思ったのは事実。
読了日:01月21日 著者:秋津 柾水,東堂 いづみ
デビッド100(ヒャッ)コラム (河出文庫)デビッド100(ヒャッ)コラム (河出文庫)感想
書き下ろしコラム100本。今読むと文体に時代を感じたりもしますが、「”人生”という曖昧なものの不合理や神秘や高邁さをありがたがっていられるというのは、そこを仕切っているルールを発見していないという、ただそれだけのことだ」(P.21)なんて言い切りはすごいと思うし、『小林秀雄』の本を書くかもしれないと先の仕事を予言するような文章もある。それにしても「共有できる文化基盤ー即ち”教養”のことである」なんて読むと、山形浩生橋本治の影響を強く受けてるんだなぁと実感するのでした。
読了日:01月20日 著者:橋本 治
セプテンバー・ソングのように 1946‐1989セプテンバー・ソングのように 1946‐1989感想
新潮文庫から出ているエッセイ集で読んだものが多いのではと思ったが、重なっているのは2,3くらいだった。『ノルウェイの森』の書評のラスト、「小説が好きでない人は小説について発言しないこと」という文章にドキッとさせられる。ところで「自己流に生きて」という文章を読むと、論じられていることが今と大して変わらない気がしてくる。
読了日:01月15日 著者:小林 信彦
要するに (河出文庫)要するに (河出文庫)感想
文庫は2008年発売だが収録された文章は1995年から2001年のもの。このように書くと懐古的な文章の集まりみたいに思えるが、今読んでも古びていない。「インターネットの中年化」やNGO/NPO、官僚に関する文章は今だからこそ読まれるべきではと思うし、行動経済学の始まりについて触れているのにも驚き。1冊のまとまった著作よりも雑文の方が面白いと思うし、もっと出てもいいと思うのだけど。朝日新聞の書評とか。
読了日:01月05日 著者:山形 浩生

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