読書メーターまとめ(2018年2月)

2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1835
ナイス数:4

現代「死語」ノート (岩波新書)現代「死語」ノート (岩波新書)感想
1997年刊行。「死語」といっても著者の感覚が基準になっているので、本当に死語なのか分からない言葉もある。「死語」をテーマに戦後史を語るという感じもするが、今の文化人のダメなところ(経済批判、反成長、土建屋批判)が出てきてゲンナリさせられた。こういう言説を読んだ人が似たような主張をするのだろうな、と思いますが、「<豊か>になった日本の大衆は怒りを失った」と書かれてもなぁ。その怒りとやらで何か事を成すことはできたんですか、と思ってしまいました。
読了日:02月27日 著者:小林 信彦
道化師のためのレッスン道化師のためのレッスン感想
1984年刊行。80年代、70年代、60年代に書かれた文章が収められている。個人的には糸井重里との対談と60年代に書かれた「俗流<放送批評>を斬る」が面白かったのですが、これは今の自分が興味を持っているのは作品の中身や作者の思想ではなく、作品の受け手は如何に作品を語るべきかという事だからだと。それにしても「テレビの歴史ももう長いから、スレッカラシ風になってくるのが恰好いい、みたいな風潮があるんですよ」という30年前の言葉は今も変わってない気がします。
読了日:02月24日 著者:小林 信彦
性表現規制の文化史性表現規制の文化史感想
2017年刊行。性表現規制が上流階級や成年男子より道徳的、理性的に劣る労働者や女性を非難するためのものだったのが、時代が進み彼らの社会的地位が上昇すると庇護対象として「未成年/青少年/児童」が発見され、彼らを守るために性表現規制が必要とされた事が分かり勉強になった。人びとはいつも「自分は悪徳に触れても平気だが、他の人はそうではないため悪影響を受けるから規制して保護しないといけない」と考えがちなのでしょうという言葉が印象的でした。
読了日:02月20日 著者:白田 秀彰
脳には妙なクセがある (新潮文庫)脳には妙なクセがある (新潮文庫)感想
2018年刊行(親本は2012年刊行)。脳科学の様々な(当時)最新の知見を紹介したエッセイで、同著者の『進化しすぎた脳』と重なる部分もあるが、「楽しいから笑うのではなく、笑顔だから楽しいという逆因果」や身体感覚と脳の関係、脳は入力よりも出力を重視するというところは刺激的でした。
読了日:02月16日 著者:池谷 裕二
脱貧困の経済学 (ちくま文庫)脱貧困の経済学 (ちくま文庫)感想
2012年刊(親本は2009年刊)。アベノミクス前に行われた経済学者と作家の対談で、今2人が対談したら話がかみ合わないような気がしないでもない。ただ刊行されたときは金融緩和も財政政策もしてなかったので、当時の状況を知ることができました。もっとも指摘されている再分配政策や職業支援、生活保護バッシングは変わってないように思えますし、「携帯電話やパソコンを持ってるから貧乏じゃない」という話は今もあることを考えると、この本で書かれていることは終わったことではないとも思うのです。
読了日:02月07日 著者:飯田 泰之,雨宮 処凛
ファンダム・レボリューション:SNS時代の新たな熱狂ファンダム・レボリューション:SNS時代の新たな熱狂感想
2017年刊。事例が海外のものというのもあるが、私がそこまで熱心にファン活動をせず、ファンサークルにも参加してないのでイマイチピンと来なかったところはあります。同人活動やコスプレをしたり、オフ会をよく主催する人が読むとまた違うのかもしれません。ただ第6章のクラウドファンディングのところは『この世界の片隅に』のクラウドファンディングに参加したからか、よく分かると言いますか、豪華なお礼がないやり方は正しかったのだなぁ、と。
読了日:02月03日 著者:ゾーイ フラード=ブラナー,アーロン M・グレイザー

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