読書メーターまとめ(2018年3月)

3月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2451
ナイス数:5

すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考)すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考)感想
2014年刊。正直なところ冒頭の現代社会論みたいな文章は本人の実感以外のデータはないし、歌詞やコード分析もあまり目新しさは感じられませんでしたが、最後の「日本のポップスはすべてノベルティー・ソングである」という仮説は面白く、どちらかというとこちらをメインにしてほしかった感はあります。ただ「日本人は『人格』の部分に過去をさかのぼった歌い手の成長物語などの『文脈』を含めて作品を楽しんでいます」というのは自分でも実感はしますが、これって日本人だけのものなの?
読了日:03月31日 著者:マキタスポーツ
日本音楽の再発見 (1976年) (講談社現代新書)日本音楽の再発見 (1976年) (講談社現代新書)感想
1976年刊行。論点が多岐に渡り、自分でも未整理なので再読したい。しかし、「日本人が西洋音楽(ここではクラシック)を演奏する意義は何か」という問題は、西洋音楽を別のものにしても通じる気がする。
読了日:03月27日 著者:団 伊玖磨,小泉 文夫
怠惰の美徳 (中公文庫)怠惰の美徳 (中公文庫)感想
2018年刊。タイトルだけ見るとグータラな随筆ばかりが収められているように思えますが、実際にはそういう随筆は少なめ。個人的には「衰頽からの脱出」といった社会批判、日本批判が現代日本にも通じていて、そういう文章に魅力を感じました。ただこの作家が信用できるのは、上から目線ではなく、自分が批判しているものに魅力を感じていることに自覚的であることです。自分が俗物であるという意識を捨てなかったからこそ、そのような視線を持てたと思いますし、もし勤勉だったらそんな視線を持てたかどうか。
読了日:03月23日 著者:梅崎 春生
誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫 NF)誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫 NF)感想
2018年刊(親本は2016年刊)。音楽産業の変化をMP3開発者とCDプレス工場で働く労働者、大手レコード会社のCEOを軸に描き出しているが、様々な偶然が絡み合ってこのような変化が起きたのかと勉強になったし、それ以上に読み物としてものすごく面白かった。それにしてもCDから配信への変化に気づくと一気にビジネスモデルを変えてしまうところは、やっぱりアメリカはすごいというか抜け目ないというか。ネット社会を語る上でも欠かせない1冊だと思います。
読了日:03月18日 著者:スティーヴン ウィット
TYPE-MOONの軌跡 (星海社新書)TYPE-MOONの軌跡 (星海社新書)感想
2017年刊。那須きのこ・武内崇の出会いから『FGO』に至るTYPE-MOONの歴史をざっと見るにはいいのかもしれません。ただ彼らのファンではない私には「彼らの作品にファンが熱狂するのは、彼らの作品が魅力的だからだ」以上のことは書かれていない気がしました。例えば那須きのこが安易なクロスオーバーを嫌うという文章の後に、「TYPE-MOONのクロスオーバー作品は最大限にファンを楽しませるように世界観を交差させるからファンが熱狂する」と書かれてもサッパリ分からない。ファングッズの一種と考えるのが妥当。
読了日:03月15日 著者:坂上 秋成,武内 崇
ファンベース (ちくま新書)ファンベース (ちくま新書)感想
2018年刊。『ファンダム・レボリューション』の日本版、マーケティング版という感じで、事例が身近な分、興味深く読むことができた。新規顧客よりも今いるファンに向けてどう届けるかを書いていて参考になった。今後はどのようなジャンルや職種であれ、ファンを意識していかないといけないのではと思ったり。あと本書のメインテーマとはずれるのだが、ネットが大都市圏以外ではあまり活用されていないのが驚きだった。そういうところではテレビ広告などのマス媒体が効きやすいという指摘にも納得。
読了日:03月13日 著者:佐藤 尚之
賢い組織は「みんな」で決める:リーダーのための行動科学入門賢い組織は「みんな」で決める:リーダーのための行動科学入門感想
2016年刊行。タイトルだけ見ると「みんなの熟議で意思決定しましょう」という内容に思えるが、心理的バイアスや思い込み、評判プレッシャーなどの要素で熟議の結果、さらに極端に走ったり過度に楽観的になる可能性があるから、そうならないようにやり方を考えましょうという内容。実体験に基づくものより実験内容の照会が多いため、個人的には分かりにくく感じた。内容を理解したかはアヤシイ。先日読んだ『決定力!』とも通じる部分があり、併せて読み返したいところ。
読了日:03月11日 著者:キャス・サンスティーン,リード・ヘイスティ
決定力! ――正しく選択するための4つのステップ (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)決定力! ――正しく選択するための4つのステップ (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
2016年刊行(親本は2013年刊行)。意思決定を下すときに陥りがちな4つの罠、「視野の狭窄」「思いこみ」「一時的な感情」「自信過剰」を回避するために「選択肢を広げる」「仮説の現実性を考える」「決断の前に距離を置く」「誤りに備える」ことで、より賢明な意思決定をできるよう提案している。こういう本を高校時代に読みたかったなぁと思うのですが、それはともかく、このような行動科学や脳科学の本を読むと「人間は思った以上に頭が悪く、合理的でもなければ客観的でもない」と思うので、そういう認識の上で行動したいな、と思う。
読了日:03月06日 著者:チップ ハース,ダン ハース

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