読書メーターまとめ(2017年11月)

11月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1805
ナイス数:13

味を追う旅 (河出文庫)味を追う旅 (河出文庫)感想
2013年刊行(親本は2010年刊行)。「食物の随筆は、そんなにうまいものがあるなら、食べてみよう、と思うところに面白みがある」(P.154)という著者の言葉に従えば、これはとても面白みのある食物の随筆でした。宇和島のうどん屋とか行ってみたくなります(まだあるかはともかく)。あとホテルの朝食バイキングが好きでない理由や「食べる?」という文章には戦後を生き抜いた人の食に対する考えが見えて興味深かったです。
読了日:11月30日 著者:吉村 昭
アナキズム・イン・ザ・UK――壊れた英国とパンク保育士奮闘記 (ele-king books)アナキズム・イン・ザ・UK――壊れた英国とパンク保育士奮闘記 (ele-king books)感想
2013年刊行。「ポリティクスは、立ち位置ではない。志向する方向性なのだ」(P.77)という言葉が象徴するように、イデオロギーではなく生活者から見たイギリスの姿であり、保守党批判の本でもあります。個人的にはside-Aよりも底辺託児所のエピソードを書いたside-Bの方が面白く感じました。
読了日:11月26日 著者:ブレイディみかこ
回想の文学座 (中公新書)回想の文学座 (中公新書)感想
1987年刊行。終戦後に文学座に入座し、「喜びの琴」事件で退座した著者の文学座回想録。役者よりも『どん底』演出中に亡くなった岸田國士文学座を創設した岩田豊雄の印象が残る。それと同時に理想や理念で人が動く時代というのは新劇の青春時代ではなかったのかしらんと思う。
読了日:11月19日 著者:北見 治一
デフレと円高の何が「悪」か (光文社新書)デフレと円高の何が「悪」か (光文社新書)感想
2010年刊行。民主党政権時代の本なので、内容的には若干古いが、コアCPIよりもコアコアCPIの方が大切だったり、産業政策は無駄であるという主張は面白かった。後者はホンダの四輪進出の経緯を読んでいるので納得できました。あと実感と理論は食い違うことがあり、実感だけで何かを語るのは危険だなぁと。
読了日:11月16日 著者:上念 司
つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み (ちくま新書)つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み (ちくま新書)感想
2014年刊行。無料貸本屋ではなく課題解決型の施設となったり、本によってコミュニティの核となる図書館など様々な事例が紹介されている。後者は一箱古本市とも関係することかなぁ、と思ったり。とはいえ、貴重な書籍を収集したり地域の資料のアーカイブを作ることも図書館の役割と思えるのだが、そういうところへの視点が若干薄い気がしないでもなかったです。あと刊行後に発覚したことだから書いても仕方ないが、ツタヤ図書館の選書問題については全く触れられていないので、今では武雄市図書館の評価も違うかも。
読了日:11月13日 著者:猪谷 千香
駅伝マン──日本を走ったイギリス人駅伝マン──日本を走ったイギリス人感想
箱根駅伝がピークになってしまう、科学的なトレーニングがなかなか浸透しないといった問題点は、出版当時はともかく今ではいろいろなところで言われていると思うので、そこの指摘に新鮮味は感じられませんでした。むしろ長距離陸上界にケニアエチオピア、日本くらいしかトップクラスの選手がいないという事実に驚かされました。
読了日:11月10日 著者:アダーナン・フィン
日本を滅ぼす消費税増税 (講談社現代新書)日本を滅ぼす消費税増税 (講談社現代新書)感想
デフレ下での消費税増税は最悪であり、デフレ脱却と積極財政による成長路線に舵を切るべきだという主張。名目GDPの方が実質GDPより大事であり、GDP関連のニュースを見る時はそこを気を付けないと思いました。それにしても増税を「座して死を待つ敗北思想から出た敗北政策」と書いているが、増税云々かかわらず右も左もこの考えが染みついているような気がする。平田オリザの「下り坂」というのもこれだよなぁ。
読了日:11月03日 著者:菊池 英博

読書メーター