3/19みちくさ市に出店します。
読書メーターまとめ(2017年2月)
2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1420
ナイス数:12
パパは神様じゃない (ちくま文庫)の感想
第2子が生まれることになった著者が子供の成長を描いたユーモアスケッチを描こうとするも、時代の流れやらなんやらで結局ペシミスティックな小林信彦の本になっている。
読了日:02月28日 著者:小林 信彦
ポッピンQ reverse (角川コミックス・エース)の感想
映画『ポッピンQ』の本編で語られていない蒼、小夏、あさひ、沙紀が時の谷に召喚されたときの話や、そもそもの話のきっかけが語られているのですが、それはともかく1話を読んだ後に4話を読んで、また1話を読むと「あんなつっけんどんな娘(蒼のことです)がこんな風に」と感動できるのでオススメです。
読了日:02月27日 著者:山珠彩貴
経済成長は不可能なのか - 少子化と財政難を克服する条件 (中公新書)の感想
日本経済はデフレ、財政難、国債の債務残高、少子化と4つの問題を抱えている。それらの解決を無駄を削減するというような行財政改革に頼るのではなく、国債の発行と日銀による国債引き受け、社会保障や教育・科学技術分野への政府の投資を行い、経済が成長軌道に乗ったら増税による財政の健全化を行うことを提案している。私は経済と数字に明るい人間ではないのですが、きわめて真っ当な提案だと思いました。個人的には「日本は成熟社会だから成長は望めないという評論家に対する嫌味がツボでした。
読了日:02月25日 著者:盛山 和夫
わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)の感想
これは面白かったし、ためになりました。自分の思い込み、文章の文脈から文章を「わかったつもり」になってしまい、そこで止まってしまうという指摘は自分自身振り返って頷けましたし、わかったつもりになったままの本も多いのだろうなぁと。この本では文章に焦点が当てられていますが、映画や漫画にもこの本の考え方は応用できるのではと思いました。
読了日:02月18日 著者:西林 克彦
オーウェル評論集〈3〉鯨の腹のなかで (平凡社ライブラリー)の感想
ヘンリー・ミラー、ディケンズ、キプリング、ケストラー、スウィフトについての評論集。どの作家も読んだことがないので、読んでから読み直せばまた違うのかもしれませんが、現状はただ読んだだけという感じ。
読了日:02月11日 著者:ジョージ オーウェル
ぼくたちのアニメ史 (岩波ジュニア新書)の感想
アニメ史とありますがアニメ史を概観したものではなく、テレビアニメ草創期から脚本家として接してきた著者によるエッセイと見た方がいいかもしれません。現在までたどるよりも草創期の話でまとめた方が面白かったのではと思います。あと、最後に出てくるアニメスタジオがGONZOとマッドハウスな辺りに時代を感じます。2008年だと京アニもシャフトも出てこないんだなぁ、と。
読了日:02月07日 著者:辻 真先
読書メーター
『ポッピンQ』上映終了で思うこと
『ポッピンQ』の公開が一応(と書いておく)終了したので、思っていたことをつらつらと書きます。
私は2月4日に観たのが最後なので公開最終日は観てないのですが、お客さんの入りも良かったようで何よりです。観に行った皆様、ありがとうございました。
さて、興行成績は良くなかったけど熱心なファンがついてリピーターが多く来たという流れを見てると『この世界の片隅に』の片渕須直監督の前作、『マイマイ新子と千年の魔法』を思い出します。この作品も最初は客が不入りでしたが、シネコン上映打ち切り後のレイトショー上映で火がついてロングランになりました。
で、ふと思ったのは、監督や製作陣がレイトショー上映をやらなかったらどうなっていたのだろうということです。もしシネコンでの打ち切りが決まって手を打たなかったら、この作品は一部の好事家が褒めるだけの作品になり、『この世界の片隅に』だって作られなかったかもしれない。
クラウドファンディングが成功したのは、『マイマイ新子と千年の魔法』という作品の良さだけではなく、作品を大事にするこの監督だったら信用できると思ったからではないかと思うのです。少なくとも私はこの監督の次回作なら観たいと思ってクラウドファンディングに参加しました。
そう考えると作品の寿命を延ばすのも縮めるのも製作者がどれだけ「終わってしまった」作品に愛をつぎ込めるかじゃないかと思うのです。いや、ビジネス的に考えたら損切りした方が正解だと思うんですよ。そこをどうあがいていくか。
そしてファンも上映されている限りは映画館に足を運ぶとかして、それに応えないといけないと思うのです。間違っても「興行成績が振るわなかった作品を賞賛する自分」といって作品を自己愛の道具にするようなことはしない方がいいし、ファンが「爆死」と言うことでアンチに攻撃材料を与える必要もないでしょう。
こういう事を思ったのでした。続編はもちろん作ってほしいのですが、まずは今ある作品を応援することが大事なのではと思う次第です。
というわけで、アニメジャパンのイベントには参加する所存です。
読書メーターまとめ(2017年1月)
1月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1865
ナイス数:10
文庫解説ワンダーランド (岩波新書)の感想
『図書』連載時から楽しんでいたので、書籍化されてうれしい。文庫にある「解説」を「解説」することで文芸批評、社会批評になっている1冊。『雪国』『伊豆の踊子』の解説から日本文学の解説が陥りやすい問題を指摘し、『坊っちゃん』『三四郎』の解説から「群れたがる男」について読み取っていくところが面白かったのですが、一番面白かったのは女性作家による渡辺淳一作品の解説でした。オチに使われている林真理子の文章、絶対に馬鹿にしてるよなぁ。
読了日:01月29日 著者:斎藤 美奈子
システムと儀式 (ちくま文庫)の感想
以前読んだ同著者の『おたくの精神史』は後出しじゃんけんみたいな感じがして好きではないのですが、同時代評であるこの本は面白く読めました。特に「ラフォーレ原宿としてのまんが専門店」と『めぞん一刻』評が面白かったのですが、後者は今読むとカラフルピュアガールの更科修一郎の元ネタはこれかぁという感じがしてしまうのでした。更科修一郎の言う「永遠の楽園」というのは「一刻館というのは響子さんという母性原理に支配された母体の様な空間だったように思えてくる」ということなんじゃないかなぁ、と。
読了日:01月26日 著者:大塚 英志
ポッピンQの感想
ストーリーは映画と同じだが、各キャラの心情や映画にはないセリフもあり楽しめた。
読了日:01月21日 著者:東堂 いづみ
ポッピンQ~ポッピン・ドロップ~ (小学館ジュニア文庫)の感想
主人公5人のキャラクターが分かる短篇とレミィによる物語の発端が書かれている。あさひ、小夏、沙紀の話が良かったが、小夏のコンクールを巡るトラウマは映画内でちゃんと描くべきだったんじゃないかなぁと読んでいて思ったのは事実。
読了日:01月21日 著者:秋津 柾水,東堂 いづみ
デビッド100(ヒャッ)コラム (河出文庫)の感想
書き下ろしコラム100本。今読むと文体に時代を感じたりもしますが、「”人生”という曖昧なものの不合理や神秘や高邁さをありがたがっていられるというのは、そこを仕切っているルールを発見していないという、ただそれだけのことだ」(P.21)なんて言い切りはすごいと思うし、『小林秀雄』の本を書くかもしれないと先の仕事を予言するような文章もある。それにしても「共有できる文化基盤ー即ち”教養”のことである」なんて読むと、山形浩生は橋本治の影響を強く受けてるんだなぁと実感するのでした。
読了日:01月20日 著者:橋本 治
セプテンバー・ソングのように 1946‐1989の感想
新潮文庫から出ているエッセイ集で読んだものが多いのではと思ったが、重なっているのは2,3くらいだった。『ノルウェイの森』の書評のラスト、「小説が好きでない人は小説について発言しないこと」という文章にドキッとさせられる。ところで「自己流に生きて」という文章を読むと、論じられていることが今と大して変わらない気がしてくる。
読了日:01月15日 著者:小林 信彦
要するに (河出文庫)の感想
文庫は2008年発売だが収録された文章は1995年から2001年のもの。このように書くと懐古的な文章の集まりみたいに思えるが、今読んでも古びていない。「インターネットの中年化」やNGO/NPO、官僚に関する文章は今だからこそ読まれるべきではと思うし、行動経済学の始まりについて触れているのにも驚き。1冊のまとまった著作よりも雑文の方が面白いと思うし、もっと出てもいいと思うのだけど。朝日新聞の書評とか。
読了日:01月05日 著者:山形 浩生
読書メーター
『Fate/Grand Order』と『チチカカコヘ』のコラボフェアを夢想する
『Fate/Grand Order』というアプリゲームがあります。どんな内容か手っ取り早く言うと山田風太郎『魔界転生』みたいなものです。
さて紀伊国屋書店新宿本店でこのゲームにあわせた本を集めたフェアを行っているのですが、なんとフェア合わせで復刊された岩村忍『暗殺者教団』が文庫ランキング1位になったそうです。すげえ。
【2階Fateフェア】フェア開催記念の限定発売文庫、岩村忍『暗殺者教国』(筑摩書房)。なんと1/23-1/29の文庫週間ベストセラー新宿本店1位となりました! ファンの皆様のために尽力してくださった筑摩書房さんには感謝してもしきれません。みなさま、ぜひこの機会にどうぞ。Y.O. pic.twitter.com/BXrsYPonhj
— 紀伊國屋書店新宿本店 (@KinoShinjuku) 2017年1月30日
私も足を運びましたが、普段はなかなか手に取られないちくま文庫、ちくま学芸文庫を何冊も手に取る若者を見て出版業界の未来に希望を持ちました。
で、ここからが本題。
『Fate/Grand Order』と『チチカカコヘ』でコラボフェアをすべきではないか。すれば売れるんじゃないか。
なお『チチカカコヘ』については以下のリンクを参照してください。
なんで電子書籍のサイトにリンクを張っているのかと突っ込んではいけない。
というわけで、ここからは私ならこういうフェアをやるという企画、ないし妄想です。
1.各社1,2点復刊させる。
例えば講談社学術文庫から出ているトマス・ブルフィンチ『シャルルマーニュ伝説』。
シャルルマーニュ伝説 中世の騎士ロマンス (講談社学術文庫)
- 作者: トマスブルフィンチ,市場泰男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/02/09
- メディア: 文庫
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アストルフォと関係があるこの本を復刊するというのはどうでしょうか。各社の文庫を網羅しているわけではありませんが、探せば『Fate』に絡んだ本があるはずです。そういう本を復刊しましょう。
ただ復刊するだけではつまらない。ここは日本国の文化、バカでかい帯を巻いて出荷する。
というわけで、2つ目のアイデアはこれである。
2.英霊の元ネタとなった本には描き下ろしの大きい帯をつける。
例えばケルトの神話ならクーフーリン、『五輪書』には宮本武蔵の描き下ろしの帯をつける。できればドラマ化や映画化した文庫みたいにカバーなのか帯なのか分からないようなサイズのものが望ましい。そうすることで前から持っている人も買いたくなるように仕向ける。
3.フェア書籍は文庫、新書のみにする
『チチカカコヘ』は文庫のフェアなので文庫以外入りようがないのですが、例外として新書を入れるのもありかもしれないので、そこは柔軟に対応する。ただあまりに高価な書籍は手に取ってもらえない可能性があるので入れない。
4.セットは3種類ほど用意する
Aセット 10冊×6社=60冊
Bセット 5冊×6社=30冊
Cセット 2冊×6社=12冊
このようにすれば小さい書店でも安心して注文できる。Bセットでもマンガなどと組み合わせれば棚一本分にはなるんじゃなかろうか。
なおCセットには『Fate』における基本的なサーヴァント、人気のあるサーヴァントに関する本のみにする。前者はともかく後者については運営に聞くか、紀伊國屋書店のフェア担当に聞くのがいいと思います。
私は『Fate/stay night』(PCゲーム版)、『Fate/Zero』に挫折した人なので参考になりません。
という感じでどうでしょうか。
それにしても紀伊國屋書店新宿本店の『FGO』フェアですが、前回といい今回といい作品に対する愛の深さ、書籍のラインナップに圧倒されます。この担当者の方は本当にこの作品が好きなのだと思うのです。やっぱりこれくらいの愛の深さがなければこういうフェアを大々的にはできないんだろうなぁ、と思ってしまうくらいに。
ただその一方で、これができるのは紀伊國屋書店新宿本店というブランドの力だとも思うのです。ここまでやりたくてもできない書店もあるのではないかと思います。そもそも地方の方は書店のフェアのためだけに上京も出来ないでしょうし。
そういう方のためにもこのようなフェアをやるのもいいのではないかと思います。せっかく若い人がちくま文庫とか、ちくま学芸文庫を買っているというのにもったいない。興味を持ってもらうためにもコラボって悪くないと思いますし、アニメ帯のついたちくま学芸文庫とか見たくないですか。私は見たい。
というわけで、『チチカカコヘ』の皆様には一度検討していただけないかと思います。
1/22ひとつき十冊に出演しました
1/22に神奈川公会堂・和室で行われたドジブックスさん主催のひとつき十冊というイベントに出演しました。
ゲストの古書現世向井さんの話が面白く、私はほとんど話しませんでした。そんな全員のリストはこちら。
以下、私の選んだ10冊とその感想。
1.斎藤美奈子『戦火のレシピ』(2002/岩波アクティブ新書)
『この世界の片隅に』関係で読んだ本。戦争中の食生活がどんどん悲惨になっていくので、やっぱり戦争はアカンとなるのでした。「疎開生活で絵の上手な子に甘いものの絵を描いてもらった」というエピソードはすずさんとりんさんのエピソードにもつながるものがあります。
なお岩波アクティブ新書はレーベルごと無くなってしまいましたが、この本は岩波現代文庫で復刊されたので、そちらでもどうぞ。
2.加藤典洋『戦後入門』(2015/ちくま新書)
左派による改憲論。国民による憲法の選び直しによって、憲法を自分たちのものにするという著者の提案には納得するのですが、鳥越俊太郎の応援演説で「国民がふらふらしてるから安倍なんかに2/3の議席を与えちゃうんですよ」と言って、それが聴衆に受けているのでは著者の提案は一顧だにされないんだろうなぁと思うのです。
3.菅野完『日本会議の研究』(2016/扶桑社新書)
日本会議寄りの人の発言って「政治家と天皇は頭がカラッポの方がいい」という風にしか思ってなさそうで不快だし、この人たちのどこに天皇に対する敬意があるのかちっとも分からんのです。
4.小林信彦・荒木経惟『私説東京繫盛記』
小林信彦が荒木経惟とともに東京を歩くのですが、著者の罵倒が面白かったのです。
全共闘以後の、頭がカラッポで、ファッション感覚だけは人なみという<ヤング>にふさわしい、いかにも田舎者が考えそうな垢抜けないコピーとCMが、そうした<錯覚>を作り出したのだが、しかし、実体がゼロでは、<文化戦略>はおぼつかない。
これは西武による渋谷開発を評した文章で、この後も西武劇場をくさし、<文化の香り>をちらつかせていると書くのだからたまらない。
あとは荒木経惟の写真が素晴らしい。1983年の新宿のクラブ「ムーランドール」の看板には研ナオコや天地真理の名前があって、時代を感じさせます。
5.星野源『働く男』(2015/文春文庫)
6.星野源『蘇える変態』(2014/マガジンハウス)
2016年は星野源の年だったと思うので上げました。
7.伊藤計劃『伊藤計劃記録Ⅰ、Ⅱ』(2015/ハヤカワ文庫)
別の本を上げるつもりでしたが、年明けにこんな記事を読んでしまったので。
この記事と伊藤計劃になんの関係があるかというと、伊藤計劃が「こちとら自腹や」(だっけ)を批判した文章があったからです。
あと伊藤計劃を誤解していたところがあって、この人は今も生きていればSFを書いて映画秘宝の常連になってるんだろうなぁと思っていたのです。ただ読んでいると映画秘宝の恣意的なボンクラ分類にも批判的だったので、やっぱりイメージで語ってはいけないと思ったのでした。
余談ですが、最近は心が狭いので「この映画は皆殺し案件ですよ」と嬉々として柳下氏にリプライを飛ばす人を見ると「他人に頼らず自分の言葉で語らんかい、死ね、バカ」としかならない。
8.梅崎春生『桜島/日の果て/幻化』(1989/講談社文芸文庫)
戦争を描いた小説でありながら、戦争という感じがしないのは戦場の苛烈な描写がないからではと思うのです。個人的には遺作となった「幻化」が素晴らしかったです。現在と回想が入り混じり、オチもなく物語は終わるのですが、久しぶりに小説を読んだという気になりました。
9.中島佑『ODD FUTURE』(週刊モーニング2016年2月4日号収録)
発表時にネットでも話題になったマンガで、私はあるコマというかせりふがすごい好きで思わず泣いてしまうのですが、それがどこかは書きません。
10.桜野みねね『まもって守護月天! 解封の章』(1)(2016/マッグガーデン)
高校時代読んでいたマンガの続編。続編があることすら知りませんでした。作中の時間も3年経っていて翔子がえらくいい女になっていてい驚いたのでした。キリュウと花織は次の単行本で出るんかねぇ。
1/22ひとつき十冊に出ます
1/22に開催されるひとつき十冊に出演します。18時30分から神奈川公会堂和室にて。今回のゲストはわめぞ代表で古書現世店主の向井透史さんです。
私が出ることになったのはたぶん客席にいてもうるさいからでしょう。とはいえ、私は付け合わせのサラダみたいなもんなので、面白い本の話は他の出演者の方がやってくれると思います。
というわけで、よろしくお願いします。