読書メーターまとめ(2018年6月)
6月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:813
ナイス数:10
バンドやめようぜ! ──あるイギリス人のディープな現代日本ポップ・ロック界探検記 (ele-king books)の感想
2017年刊行。帯に「日本では否定的なレビューがタブーとなっているのはなぜか」とあるが、内容は日本の音楽を巡る環境が中心でタブーに切り込むという感じではありませんでした。様々なインディ、オルタナバンドの名前が挙がりますが、ほとんど分からない上に興味も湧かないというありさまで、内容云々というより、著者が好意的に扱っているバンドやシーンに対する関心がないことを実感させられた。
読了日:06月22日 著者:イアン・F・マーティン
アベノミクスが変えた日本経済 (ちくま新書)の感想
2018年刊行。正直なところ経済学の知識がある程度ないとサッパリ分からないところがあった。分かったのは「インフレ目標を達成することで、雇用状況が改善されているかをみるのが大事」ということと「経済が完全に成長軌道に乗るまでは消費増税のような緊縮策は取るべきではない」ということくらい。あとマクロ経済は国民生活に影響を及ぼすということも改めて感じた。
読了日:06月18日 著者:野口 旭
ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」への感想
2013年刊行。5年前の本なので今取り上げるとしたらiTunesStoreじゃなくてSpotifyだよなぁ、と思ったりもしますが、書かれている状況は古びていないように思えました。作品を鑑賞したり作品を通して作者の思想を理解することよりも、作品を通じてつながったり作品で遊んだりという事の方が優位に立っているという状況。ただ今の状況は急に出てきたのではなく、昔からそういうことは起きていたというのも興味深かった。あと個人的にはアイドルやアニソンにも触れているのがよかった。
読了日:06月10日 著者:円堂都司昭
読書メーター
6/17みちくさ市出店報告
6/17のみちくさ市に出店しました。わめぞの皆様、大家さん、来てくださったお客様、ありがとうございました。
みちくさ市、始まりました。 pic.twitter.com/uZuNWSSbxN
— 書肆ヘルニア@ミリオン5th円盤待ち (@unterwelt) 2018年6月17日
天気が心配でしたが何とかなりました。
今回お買い上げいただいた本は以下の通りです。
計8冊、2000円の売上でした。たぶん今までで一番よくなかったです。この前の川口ブックマーケットは良かったので、客層の問題なのかなぁと思う次第。小説や生活の本、絵本といった書籍は自分が読んでないもしくは買ってないから扱ってないため、いきおい人文書や社会科学系の本がメインになってしまうのですが、それがみちくさ市に来て下さるお客さんと合っていないのかしらん。
まぁ出し続けることでひょっこりと売れることもありますから、粘り強くやっていくしかないんだろうなぁと思います。こんな悠長なことが言えるのも片手間の古本屋だからで、専業の人はそうも言ってられないのでしょうけど。
そういえば前回の川口に出た時はドジブックスさん主催の「ひとつき十冊」のネームプレートに反応してくださる店主の方が2~3名いらっしゃったのですが、みちくさ市ではドーナッツブックスさん以外反応してくれませんでした。
今年の夏か秋に引っ越しをする予定なので、次回の出店は未定です。
6/17みちくさ市に出店します
読書メーターまとめ(2018年5月)
5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1697
ナイス数:18
声優 声の職人 (岩波新書)の感想
2018年刊。『アイズワイドシャット』のオーディションの話が興味深かった。あと「声優は日本語の文章と向き合う仕事だから、日本語力を身に付けないといけない」という考えは、実際に演技をしている人の意見だなぁと思いました。
読了日:05月30日 著者:森川 智之
文学と私・戦後と私 (新潮文庫)の感想
1974年刊行。海外のことをつづった第1部と自身について書いた第4部が良かった。特に「戦後と私」というエッセーの「しかしいったいこの世の中に私情以上に強烈な感情はあるか」という一文は印象に残った。ただ同じ文章を小林秀雄が書くと啖呵になるけど、江藤淳のそれは哀しさというか悲痛な叫びみたいに思えてきてしまう。これは著者の最期を知っているからかもしれないけど。ところで「『ヒッチコック・マガジン』の中原、大坪両氏が訪ねられ」とあったけど、小林信彦と江藤淳の接点って山川方夫なんだろうか。
読了日:05月24日 著者:江藤 淳
進歩: 人類の未来が明るい10の理由の感想
2018年刊行。悪いニュースが飛び交い人類の未来は暗いように思えるが、実は今の時代は貧困、環境、衛生が昔に比べて格段に改善している。それは経済成長や技術革新、啓蒙思想や未来への投資によってであり、我々はそれを取也してはいけないし、「昔は良かった」といった言説に飛びついてはいけないという内容。どうにも新技術が出てくると危険性を強く感じてしまうが、そのメリットもキチンと見ないといけないのだと思わされた。
読了日:05月20日 著者:ヨハン ノルベリ
そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学の感想
2018年刊行。著者の本を何冊か読んでいるので、左派こそ経済政策を重視し、みんなが経済的に豊かになるような政策を打ち出すべきだという主張に目新しさはない。個人的にはブレイディみかこの「これから上るべき坂を目の前にしている若い人たちに対して、すでに坂の上のほうにいる人たちが、縮めとか、降りろとかいうのはとても残酷だと思います」(P.29)という言葉にとても共感する。
読了日:05月16日 著者:ブレイディ みかこ,松尾 匡,北田 暁大
反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったかの感想
2014年刊行。社会を改善するにはシステムを変えるといったことではなく、ルールを定めたり(そのためにはデモよりも議員への陳情の方が有効でしょう)、具体的な案を出していくといった地味な活動を通して行うべきものかと思いました。そうすると社会の変革を志望し、規制やルールを否定するカウンターカルチャーは問題を悪化させこそすれ解決には向かわせないと。しかしこういう本は文化人とかが読むべきなんだろうけど、読まないんだろうなぁ。
読了日:05月08日 著者:ジョセフ・ヒース,アンドルー・ポター
読書メーター
5/19川口ブックマーケット出店報告
5/19の川口ブックマーケットに出店しました。主催者の皆様、来てくださったお客様、ありがとうございました。
川口ブックマーケット、始まりました。いちばん端にいます。 pic.twitter.com/cPbgZvNjl6
— 書肆ヘルニア@5/19川口ブックマーケット、6/2,3ミリオン5thライブ両日現地 (@unterwelt) 2018年5月19日
当日は雨という予報もあり、雨だったらお客さんも来ないだろうなぁと思っていたのですが、朝に小雨があったにもかかわらず、会場の川口神社の地面は乾いていたので無事に開催しました。主催者の方か、出店者の方に晴れ男もしくは晴れ女がいたのではないかと思います。途中パラっと雨が来ましたが、大雨にならなかったのが幸いでした。
今回お買い上げいただいた本は以下の通りです。
- 夜想bis+
- TYPE-MOONの軌跡
- セゾン文化は何を夢みた
- 「おたく」の精神史
- 表現の風景
- 自己内対話
- 誰がこれからのアニメをつくるのか?
- 奇妙な本棚
- ホフマン短篇集
- ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム
- 映画字幕五十年
- 軍艦総長・平賀譲
- 紙の動物園
- もののあはれ
- 自転車生活でいこう!
- 思想家の自伝を読む
- アニメを仕事に!
17冊5450円の売上でした。自分でも驚くくらい本が出ていきました。 川口はみちくさ市と違ってアニメ系の本が出ていくと思っていたのでそういう意味では違和感はないのですが、単行本が予想以上に売れたのが自分でもよく分かりません。もしかすると川口の書店にそういう本の扱いが少ないからかもなぁ。個人的には中学生くらいの男の子が『軍艦総長・平賀譲』をお買い上げしたのが印象的でした。『艦これ』か『アズールレーン』の影響かしらんと思ってしまうのはオタクの悪い癖。
今回が3回目の出店だったのですが、なんというか川口ブックマーケットが一番肌に合う気がしました。なかなか大変な感じですが、来年も開催してほしいなぁと思います。
5/19川口ブックマーケットに出店します
5/19の川口ブックマーケットに「書肆ヘルニア」の屋号で出店します。
川口ブックマーケットへの出店も3回目ですが、いつもと変わらない品揃えでお待ちしています。
天気予報を調べたら当日は天気が悪いようなのですが、雨天の時は場所を変更して開催しますのでどうぞよろしく。
というわけで宜しくお願い致します。
読書メーターまとめ(2018年4月)
4月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1860
ナイス数:10
噂は噂 壇蜜日記4 (文春文庫)の感想
2018年刊行。これで終わりかもしれないと思うと淋しい。「この仕事は嫌いではない。ただ向いていないとは思う」という文章もあれば、「朝から床の上で原稿を書く。見てるか。これが本当の枕営業だ」という文章があるところがたまらない。
読了日:04月30日 著者:壇 蜜
デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論の感想
2018年刊行。人口減少によって日本は否応なく生産性を向上させなくてはならない、ではどうするか、ということで「高品質・相応価格」「女性の活用」「最低賃金の上昇(とそれに対応できない企業の淘汰)」を提案している。経済規模を維持しないと社会福祉が保てず「親を見殺しにする国になる」と言っているのはごもっとも。
読了日:04月21日 著者:デービッド アトキンソン
三文役者の待ち時間 (ちくま文庫)の感想
2003年刊行。中断は挟むものの1977年~1983年までのジャズ、ミステリ、映画撮影の記録。もっともジャズ、ミステリ、映画に興味のない私には「もっともオレたちはマチガイダラケの国家に住んでいるんだから、こんなマチガイなんかどうでもいいか」(P.52)とか、「なんでもついでや、生きるもついで死ぬるもついで」(P.274)なんて言葉に惹かれるのです。それにしてもこういう言葉を書く俳優とか文化人っていなくなったような気がする。良識的な発言をするのが正しい文化人みたいな感じになっている気が。
読了日:04月16日 著者:殿山 泰司
考える耳 記憶の場、批評の眼の感想
2007年刊行。音楽を補助線にして社会について語る音楽時評というコンセプトはいいと思うのですが、モーツァルトのイメージ(神話)批判のオチが紋切型の与党批判だったりするので、これなら社会時評部分は無かった方が良かったのではと思ってしまいました。
読了日:04月11日 著者:渡辺 裕
慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代 (新潮文庫)の感想
2011年刊(親本は2001年)。同じ年に生まれた文学者七人の青春と時代を描いているが、日清戦争前で終わっているのでまだ漱石は作家になっていない。ただ著者の興味は日本という国がふにゃふにゃだった明治初期とその頃に生まれた文学者達の肖像にあったと思うので、尻切れトンボでも仕方がないのかなとは思う。彼ら七人に加えて、内田魯庵や田山花袋、泉鏡花も出てくるのでものすごく濃い。それにしても、彼らが同時代に生まれてなかったら、我々が知っている彼らになったのだろうか、と偶然というものについて考えてしまう。
読了日:04月09日 著者:坪内 祐三
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